蒔絵師のオヤジ - 千葉じいのエアーブラシ日記

寒い日が続きますがお変わりありませんか？
そろそろ千葉南房総も草花が色づくようになりました。
連休に孫達でも来たらと少し家の中を片付けておこうと
色々お母さんと二人で引張り出したりしていたら
オヤジの品物が出てきたので整理整頓しているんですが、
頑固おやじの事を紹介がてら載せてみましたのでご覧下さい！
やっぱり親子ですね顔も千葉じいに似てるでしょう。

「残された文机」

昭和50年の暮れ父源太郎が旅立って、麻布の家も開発で姿を消してしまった。
そして僅かに残された親父の品々は下町の我が家に移されたのだが、
現役で仕事の真最中だった事もあり静かに家の片隅に眠っていたのである。
千葉の家が出来てからまたまたそのまま運ばれたのであった。
古机を見つけ出し道具の埃を払ってカメラに記録しながら、
今迄を振返ってちょっぴり感傷的な時を過ごしながら
一日いい時間を過ごせたような気がしている。
せっかくの機会なので手伝って貰いながら記録を残そうと思う！
何故今そんな事をと家族親戚は声を揃えて異口同音に言うだろう
私の年齢になったら解ってくれるだろうとだけ答えておくことにしよう。

そして、仏壇の親父の位牌に手を合わせたのだが、
黒い位牌に書かれた戒名の金文字〜そうだ親父の漆と金粉で
私が書いて作ったんだよなとマジマジながめた。

昭和50年12年17日、日本伝統工芸会にあって漆芸「最後の江戸前職人」
と呼ばれ昭和45年秋の叙勲には勲五等瑞宝章を陛下に戴いた父であったが、
七十五歳の師走に高血圧の持病も手伝って上野の国立博物館の
日本伝統工芸会を訪ね帰宅の途中倒れ帰らぬ人となった。
伝統工芸である乾漆蒔絵修理修復技術の第一人者として知られ、
法隆寺宝物館、中尊寺金色堂など数多くの国宝修理に携わった。
最後まで一職人「蒔絵師」として生きぬいた頑固一徹の親父だった。

国宝平泉『中尊寺金色堂』の昭和の解体大修理

昭和37年から七年に及ぶ仕事に参加し、至宝金色堂創建以来の修復という
国家事業に取組む機会を得たことは父にとって大いに誇りであったろう。
偶然見つけた当時の記録映画に四年間上野の国立文化財研究所で行われた
蒔絵の修復作業に挑む父・三浦明峰（源太郎）の姿を見ることが出来る。
動画スタートから20:40位から五秒ほどの出演です。
合わせて漆工・蒔絵の世界をご覧下さい！

記録映画「よみがえる金色堂」44分（カラー）

企画:中尊寺/協力:文化庁/製作:日映科学映画製作所製作協力:中尊寺修理工事事務所東京国立文化財研究所/指導:国宝中尊寺金色堂保存修理事務所

【製作者の声】
国宝金色堂は数少ない１２世紀の建築としてまた優れた工芸技術の作品として我が国文化財の至宝である。建立以来初めて解体修理が昭和３７年から７年間にわたって行われた。
この映画は、その修理の記録である。６メーター足らずの小さい建物であるが、総工費１億５千万円余り、我が国一流の学者専門家の総力を結集、優れた技術者の努力執念によって、困難な修理事業を完成させ、ついに８５０年前の、藤原三代の栄華の昔をよみがえらせたのである。修理された金色堂は、そのまま後世に至るまで、格調高い平泉文化を伝えていくだろう。

【スタッフ】
製作：片田計一　脚本：中村麟子　演出：中村麟子　撮影:中山博司、石原保　照明:藤江良代　音楽：長澤勝俊解説：平光淳之介
【受賞】７０'教育映画祭最高賞/優秀映画鑑賞会特別推薦/文部省選定/東京都教育映画コンクール金賞